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Q & A

私は教育学には関心がありません。/私は臨床心理学には関心がありません。どちらも学ばないといけないのですか。

教育・臨床心理学科は、教育と臨床心理を統合した学科ですが、教育学を中心に学ぶことも、臨床心理学を中心に学ぶこともできます。どちらかの領域だけを集中的に学びたい場合は、他方の領域の科目を6単位(必修科目4単位、選択必修科目2単位)学べば、あとは教育学だけあるいは臨床心理学だけを集中して学ぶことはできます。しかし、この二つの領域を統合的に学べることが、この学科の大きな特色ですから、他方の領域も学んでいただくことをおすすめします。

教育を専門とする場合、学習心理学や発達心理学はどうしても必要となります。必修科目、選択必修科目でこれらの基礎を学ぶことになります。それ以外の科目を教育学関係にすることも可能です。大学院で教育学をさらに深めたいというような場合には、教育学中心の履修が可能です。

臨床心理を専門とする場合は、まず心理学の基礎を学ぶことになります。この中には学習心理学や発達心理学が含まれます。これらは教育と関連の深い科目です。教育学に関する科目として、必修科目と選択必修科目で教育の基礎を学びます。将来、臨床心理士として医療分野で活動する場合でも、教育に関する知識は非常に役に立ちます。現在でも医療分野の臨床心理士の多くが、学校現場にスクールカウンセラーや緊急支援のスタッフとして関わっています。

大学で教育学を学ぶ場合、どの大学も基本的には教育学と心理学の領域で構成されています。それは教育の実務の中では心理学的な理論、技術、技能が必要になるためです。従来の教育学系の学科では、教育学と教育心理学を統合したカリキュラムが組まれていることが普通でしたが、実務に役立つことよりも研究が重視されすぎていることもありました。

教育心理学の各領域(学習心理学、発達心理学、臨床心理学など)の知見を、社会の中で応用する場合、実際にはカウンセリング的技能が基礎になって、これらの知識が役立てられることになります。つまり、広い意味での臨床心理学は、心理学や教育心理学の中の一つの領域というよりも、各専門領域をうまく統合して役立てるための基礎でもあります。

カウンセリングや臨床心理学は、精神的な病気や悩みの深い人に対する援助というイメージがあるかもしれませんが、実際には健康な子どもや大人に対して関わることが非常に多いのです。健康で悩みのほとんどない人がカウンセリングを受けることで、自分の能力を最大限に引き出したり、自分の生きる方向性を考えたり、創造的な活動に役立てることができます。その意味では、人間形成、人材育成、成長に直接関わる技術とも言えます。どんなに知識を持っていても、人との人間関係を豊かにするための感覚と能力がなければ、活用はむずかしいでしょう。それを伝えるためのコミュニケーション技術、相手の気持ちを理解する技術、行動を変化させるための知識がなければ、実世界での応用は困難です。

一方、医学の領域で必要なのは、狭い意味での臨床心理学です。メンタルヘルスや精神疾患といった問題は、特別なもの、一般の人には縁の薄い問題と思われているかもしれませんが、実は非常に身近な問題です。学校や企業の中で頻繁に接する機会のある問題です。教育に関わるすべての人にも避けて通れないものなのです。このような場合には、広い意味での臨床心理学ではなく、専門的な知識が重要になります。このどちらも学ぶことができるのが、教育・臨床心理学科なのです。

教育学については、基本的な科目群とともに、キャリア発達、生涯学習など、従来の学校教育の枠を超えた教育活動も重視すると共に、教育の実務経験の豊富な教員を加えて、学校教育においても、実践的な教育活動が学べます。学内で小学生や中学生と接する機会もあり、現場を重視した教育を学べます。企業や組織の中での人材育成、企業内研修など人の成長に関わる幅広い分野で役立つ知識と能力が身につきます。

教育学にも臨床心理学にも興味はありますが、まだどちらにするか決められません。

本学科は、最初にはどちらの領域を専門的に学ぶか決めていなくても問題はありません。最初はどちらかに決めていても、途中から方針を変更することも可能です。基礎を学びながら、自分が将来何になりたいのか、どのような専門家になりたいのか、アイデンティティを形成していくことが可能なカリキュラムになっています。

大学の中には、一つの学科の中に複数のコースや専修があって、入学する段階あるいは2年生に進学する段階などで、一つのコースに決めるシステムを採っているところもありますが、本学科は自分の必要に応じてカリキュラムを組み立てやすい、途中で変更しやすいシステムになっています。

私は臨床心理学よりも教育心理学や基礎的な心理学が学びたいのですが、可能でしょうか。

カリキュラムを見ていただければわかるとおもいますが、本学科は教育学と心理学を統合する形の学科ですので、その中核になる科目群は実際には教育心理学と言っても過言ではありません。ですから教育心理学的な科目を中心に履修できます。もちろんその際には心理学の基礎的な知識が必要ですので、基本的な心理学領域については必修科目、選択必修科目で学びます。これまでの教育心理学を学ぶ大学と異なるとすれば、実務に役立つ、応用領域に重点を置いた教育心理学と言えるでしょう。

公認心理師と臨床心理士の違いは何ですか?

公認心理師は、2015年9月に成立した公認心理師法に基づく国家資格です。まだ、この資格を持っている人はいません。最初の試験は2018年度に行われることになっています。
臨床心理士は、日本臨床心理士資格認定協会が認定する資格です。国家資格ではありません。病院や学校などでカウンセリングを行っている心理学の専門家のうち、多くは臨床心理士の資格を持っています。もともと、心理学の学会等が集まって、心理の国家資格を作るために、まず民間資格として臨床心理士資格を作りました。民間資格といっても、心理学の学会が中心になって作ったものですので、公的な性格を持つ資格です。
公認心理師の業務と臨床心理士の業務はほぼ同じです。2018年度より、公認心理師の試験が始まりますが、臨床心理士の多くは、公認心理師の資格をめざすものと思われます。今後は、公認心理師と臨床心理士の二つの資格を持つ人、臨床心理士資格のみを持つ人、公認心理師資格のみを持つ人が存在することになります。
将来的には、医療現場では公認心理師資格を持つ人が中心になると予想されます。医療制度の中では国家資格保持者が業務を行うことによって診療報酬が得られる方向に進むと考えられるからです。教育、福祉、司法などの領域での心理職についても次第に公認心理師が増えてくると思われます。
臨床心理士資格が、今後社会的にどのような位置づけになるかはわかりませんが、一つの方向性としては公認心理師資格が基礎資格となって、その上にさらに進んだ専門性を持つものとして臨床心理士を位置づけることが考えられます。もう一つの方向性としては、臨床心理士が公認心理師との違いを前面に出すような制度の変更を行うことが考えれます。いずれにせよ、今後は公認心理師資格を持つことが優先されることになると思われます。

大学院に行かずに公認心理師資格を取得できますか?

法律上は大学院に行かなくても受験資格を得られる道がありますが、現実には大学院を修了することが公認心理師になるための近道と思われます。

公認心理師法では、第7条において以下の3つのいずれかに該当する者でなければ公認心理師になるための国家試験を受験できないと定められています。

一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学(短期大学を除く。以下同じ。)において心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて卒業し、かつ、同法に基づく大学院において心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めてその課程を修了した者その他その者に準ずるものとして文部科学省令・厚生労働省令で定める者

二 学校教育法に基づく大学において心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて卒業した者その他その者に準ずるものとして文部科学省令・厚生労働省令で定める者であって、文部科学省令・厚生労働省令で定める施設において文部科学省令・厚生労働省令で定める期間以上第二条第一号から第三号までに掲げる行為の業務に従事したもの

三 文部科学大臣及び厚生労働大臣が前二号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認定した者

これをまとめると以下のようになります。

1.大学の学部において、公認心理師になるために必要な科目を修めて卒業した上で、さらに大学院において公認心理師になるために必要な科目を修めて修了した者

2.大学の学部において、公認心理師になるために必要な科目を修めて卒業した上で、一定期間の業務経験がある者

3.上の二つの条件を満たす者と同等以上の知識や技能があると、文部科学大臣及び厚生労働大臣が認定した者

まず、大学の学部において必要な科目を修めて卒業する必要があります。そのうえでさらに、大学院において必要な科目を修めて修了する必要があります。

大学の学部を出て大学院に進学しない場合であれば、所定の業務経験を積むことによって受験資格が得られることになります。

現時点では、どのような科目が必要か、どのような仕事が業務の経験として認められるか、また何年の業務経験が必要かなどは確定しておりません。

法案成立の際の衆議院文部科学委員会(平成27年9月2日)における委員会決議「心理専門職の活用の促進に関する件」の中には、以下のような文章があります。

四 受験資格については、同法第七条第一号の大学卒業及び大学院課程修了者を基本とし、同条第二号及び第三号の受験資格は、第一号の者と同等以上の知識・経験を有する者に与えることとなるよう、第二号の省令を定めるとともに、第三号の認定を行うこと。

第7条第1号は、心理学の学部を卒業した上で心理学の大学院を修了した者、第7条第2号は、心理学の学部を卒業した上で一定期間の職務経験を積んだ者ですので、大学院を修了することを基本とすることになります。また、学部を卒業して職務経験を積んだ者については、大学院修了と同等以上になるように基準を定めるよう求めています。

大学院修士課程を修了するまでに2年間はかかりますので、少なくとも2年以上の年数の職務経験が必要になることが予想されます。すなわち、心理学の学部を卒業した段階で、定められた職務経験を得られる職場に就職できるかどうかが重要になります。少なくとも医療機関においては、国家資格を有しないスタッフに対して、診療報酬(医療機関側の収入)の上では不利な算定がされることは容易に想像がつきます。医療機関の経営的負担になりますので、無資格の段階で学部卒業生を雇用し、数年間勤務させることを許容する機関は多くないと思われます。

これらのことから、大学の学部で心理学を学んで卒業しただけでは、公認心理師になるための受験資格を満たすことは困難であり、大学院でも心理学を学ぶことが資格取得の近道になることがお分かりいただけると思います。